格安SIMはなぜ安い?
日本の大手キャリア3社(docomo、au、Softbank)は携帯電話等の回線ネットワークとその基地局を保有し、自社ブランドで通信サービスを提供しています。
大手キャリアはMNO(Mobile Network Operator、移動体通信事業者)と呼ばれ、
格安SIMはMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が提供するサービスを指します。
MVNOは基地局や設備を持たずに大手キャリアから通信回線を借りることで、設備維持費を必要としないため、大手キャリアより安い通信サービスを提供することができます。
格安SIMのメリット
月額料金が安い
格安SIMはただ安いのではなく、その名の通り格段に安いというのが特徴です。
2022年3月現在、MVNOで最も安いプラン(音声通話付)は0.5GBで550円/月となっており、2GB、3GBでも月の通信費が1,000円を切るプランが多数存在します。
大手キャリアは『月1,980円~』や『月1,650円~』と格安SIMと大きな差が無いように表示していますが、※をつけて『○○割適用時のみ』などの注意書きがつき、わかりにくくしています。
結果としてオプションをつけざるを得ず、多くの場合どんなに安くても3,000~4,000円の範囲になります。
自分に合わせたプランが月毎に選べる
MVNOのプランは大手キャリアに比べて豊富かつ簡潔です。
毎月の通信容量を1GB単位で選べる会社もありますので、
「来月は旅行でデータ通信量が増えそうだから多めのプランにしておこう」
「思ったより使わないからデータ通信量をもう少し減らしたプランにしよう」
「来月は仕事で電話することが多くなるからかけ放題オプションつけよう」
など、ユーザーが自由に契約プランを選べます。
『月に○GBで○円』と、契約プラン自体がシンプルなので、「契約変更によってオプションの割引が受けられなくなり、逆に料金が上がってしまった」という事態が起きにくくなっています。
ショップに行かずにネットで完結できる
これは後述するデメリットと表裏になっています。
自分でやれば前知識なしでも10分、15分で終わる契約手続きも、ショップに行くと30分、客入りによっては1時間以上ととんでもない拘束時間が発生します。
ショップまでの交通費・移動時間も加わると、手続きだけで1日のうち数時間が奪われてしまいます。
MVNOは基本的に24時間手続きが可能で、自分の空いた時間にさっと済ませることができます。
格安SIMのデメリット
デメリットというほどデメリットではない
まず、ここで挙げるデメリットは「格安SIMとは」でGoogle検索すると出てくるサイトなどで挙げられるデメリットを参考にしています。
「自力で客観的なデメリットを挙げられんのか!けしからん!」と怒られそうですが、ここで挙げるデメリットはそもそもデメリットと言えるほどの不便では無いからです。
一つ一つに簡単な解決策とメリットへの転化の方法、考え方を書いていますので、参考にしてみてください。
ショップが(ほぼ)無い
先述のメリットと裏表になっています。
一部を除いてMVNOは店舗をもっていません。
ショップが無いということはショップが存在することによるメリットを受けられないということですが、ショップのメリットとはなんでしょう。
・対面でやりとりを行うので安心できる
→社会問題になる程(総務省が是正命令をするレベル)の契約を結ばされたり、そもそもそれを知らない、契約内容を理解していない消費者が山ほどいます。
サイトや広告でわかりにくいプランを提示し、わかりにくいがゆえにショップで詳しく説明するという企業よりも、最初からわかりやすく消費者自身が選択し決定できるプランを提示している企業の方が、消費者にとって良い企業といえるのではないでしょうか。
・故障したり壊れた時に駆け込める
→基本的にショップに修理を依頼した場合、修理自体はメーカー等に外注するため一週間ほど使用できません。代替機を借りれる場合がありますが、機種の指定はできず、データ移行等もありません。
街の修理業社に頼めば基本的に即日修理になります。
いまいちショップのメリット自体が見出せないので、思いつく方はお知らせいただければ幸いです。
キャリアメール・キャリア決済が使えない
キャリアメールとは、大手キャリアが発行するメールアドレスです。
(@以降がdocomo.ne.jp、ezweb.ne.jp、softbank.ne.jp)
キャリアメールはそのキャリアと契約している限り使用できるアドレスになります。
昔はキャリアから発行されているメールアドレスということで、身元確認にある程度の信頼性があるとされていました。
しかし、携帯電話の進化とその環境の変化によって、メールアドレスに信頼性を求めること自体があまり意味のないものになり、個人が所有するメールアドレスはキャリアに縛られないフリーメールに取って代わられ、キャリアメールは時代に置き去りにされた存在となってしまっています。
キャリアメールを使用できないこと自体はデメリットではありませんが、自分が利用しているサービスに登録しているアドレスがキャリアメールアドレスだった場合は、キャリア解約前にあらかじめ登録メールアドレスの変更をする必要があり、少々手間がかかります。
メールでやりとりをしている知人・友人・家族にはメールアドレス変更のお知らせを送る必要があります。
人によっては大変手間で、「そんなことやるくらいならキャリアメール継続して使うわ」となるかもしれませんが、
MVNOに移行したときの月の通信費の差額と比較すると、「キャリアメールを維持したいがためにその金額を払うのは正しい選択か(見合っているか)?」と冷静になれます。
キャリア決済については、キャリア決済でないといけない理由を探すほうが難しいでしょう。
支払いを一箇所にまとめることで得られるメリットは「クレジットカードを使わずに決済可能で、それによって複数の支払いを1つに合算し管理しやすくなる」といわれています。
(それ、カード決済でまとめてしまえばよいのでは…?)
ポイントや還元率で考えるとキャリア決済の方が得をするということはあまり起きません。
カード自体が使えない場合は、キャリア決済する価値があるサービスかを考えたほうがよいかもしれません。
通話料が高い
MVNOの通話料はオプションのかけ放題プランをつけていなければ、多くの場合22円/30秒と高額に感じるかもしれません。
しかし、今の時代、電話での通話を利用する機会は非常に限られています。
多くの方が家族や友人と通話する際はLINEやWhatsAppなどコミュニケーションアプリやiPhone同士ならFaceTimeを使用しているでしょう。
これらは電話回線による通信ではなく、データ通信によるものなので、通話料はかかりません。
電話でなければならない場面は仕事を除けば、美容室や飲食店の予約や宅配便の再配達依頼、カスタマーサービスへの問い合わせなどが挙げられますが、一回の通話は2〜3分というところでは無いでしょうか?
一回の通話が大体3〜5分とすると、132円〜220円になります。
データ通信量にもよりますが、月の使用量と鑑みて通話オプションなしのプラン1,000円(3~4GB)/月で契約した場合、5分通話を10回したとしてもトータルで3,200円です。
それ以上通話が必要であればかけ放題オプション(+1,000~2,000円ほど)をつければ解決します。
あなたは先月、何分電話をし、何GBデータ通信をしましたか?
回線品質がMNOに比べて貧弱
MVNOのデータ通信速度や通信エリアはMNOの回線に依存する形になります。
大手キャリアからすれば自分のところより良い(or同程度の)品質の回線を他社に渡す理由はないので、
格安SIMの方が通信速度が遅いというのは当然です。
また、借りた回線をMVNO契約ユーザーで分け合って使用するため、人が集中して集まる場所や、朝夕の通勤時間帯や昼休み、帰宅後の夜の時間帯は回線速度が遅くなることがあります。
しかし、速度の遅さが気になるほどの使用方法は割と限定的です。
・動画を連続して観る、長時間の動画を観る
・3Dゲーム等通信容量の大きいコンテンツを利用する
・通信対戦等のゲームを利用する
これらは一定の時間安定した回線速度が要求されるので、周囲の利用者数によって回線強度が低下するMVNO回線では心許ないかもしれません。
逆にそれ以外の利用方法で遅さを体感する機会はあまり多くありません。
(さすがに満員電車での通勤時利用は除きます)
通信量が大きいとわかっているコンテンツに対しては、
・ゲームはWi-Fi環境下で利用する
・動画等はWi-Fi環境下でダウンロードしておく
と事前に利用環境を考えておくと良いでしょう。
体感としての回線速度は使用する端末によっても変わります。
言い換えると、端末の処理性能が異なることで、ダウンロードした情報を実際に私達が視認するまでの速さも異なるということです。
MVNO回線使用の高性能スマホと、大手キャリア回線使用の性能が低いスマホとを比べると、webページの展開は前者の方が早いということもしばしば起きます。
LINEのID検索が使えない
国民的アプリといっても過言でないほど日本では広くLINEが使われています。
LINEは18歳以上の年齢確認ができないとID検索ができません。
LINEの年齢認証は大手キャリアの契約情報と連携して行われるため、MVNO回線では年齢認証ができません。
LINEを交換したい2人がその場にいればやりとりできますが、離れている場所でLINEを交換するにはID検索が必要とされています。
実際には離れた場所でもID検索以外にともだち登録することは可能ですが、
LINE社がID設定の規制は、ユーザー同士が「面識がある」「電話番号の交換をしている」ことを前提としており、
出会い系アプリ等による未成年のトラブル回避・保護を目的としていますので、当ブログでは方法を記載しません。
この記事を読んでいる方のほとんどは既にLINEアカウントを保有しており、かつ年齢認証済みだと思いますので、MNPで移行すれば電話番号はそのままでLINEアカウントは継続して使用できます。
年齢認証済み・18歳以上であればID検索は引き続き利用できます。
MNPとは?手続きについてはこちら↓
青少年のLINEユーザーの皆さんをトラブルから未然に守るため、KDDI・NTTドコモ・ソフトバンクモバイルと協力し、18歳未満の方はLINEのID設定およびID検索を利用することができないよう部分的な機能制限を実施します。
青少年保護を目的とした18歳未満ユーザーのLINE ID検索利用停止 : LINE公式ブログ
~(中略)~
18歳未満の皆さんは、LINEで友だちを追加する際、実際に会って目の前にいる人を友だちに追加できる「ふるふる」機能やQRコードの読み取り、信頼できる相手と電話番号の交換をした上で電話帳連携を行う方法をお勧めします。
非常時につながるのか?
そもそも大手キャリアであってもMVNOであっても、災害等の非常時には回線が繋がりにくくなります。
通信量が通常時よりはるかに増えるためキャリア側が通信の制限を行うからです。
仮にあなたが被災してしまったら、何より家族の安否が気になるでしょう。
2011年の東日本大震災の際、被災地である東北地方では基地局自体の被災やケーブルの断線、電源喪失によって通信設備が物理的に使用できなくなり、都内では設備容量を大幅に超える通信量が集中したため通信制限が実施されました。
『東日本大震災における通信の被災状況、 東日本大震災における通信の被災状況、復旧等に関する取組状況』より
非常時には大手キャリアでも格安SIMでも、そもそも通信自体が困難であるということです。
音声通信(電話回線)でなくパケット通信(ネット回線)は制限の割合が低いまたは非規制である可能性が高いので、基地局や設備自体が被災していなければLINE等で安否連絡を取れる可能性があります。
アクセス集中によってLINE等のサーバーへ繋がらない可能性も考慮して、災害時にはGoogle パーソンファインダーで安否確認ができることを家族間で共有しておきましょう。
(世界的大企業のGoogleが持つサーバーはそこらの企業よりはるかに信頼性が高いので、災害時には有用と個人的には思っています)
2016年の熊本地震の際には、大手キャリアはもちろん格安SIM各社も、被災者へのデータ通信量無料提供やデータ通信速度制限の解除を行いました。
各社の対応によって、格安SIMは災害時でもデータ通信ができることが示されたと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
月々の料金での比較では大きな差はないように見えても、年単位で見ると無視できない差があります。
記事中のメリット・デメリットと今のプランを天秤にかけてみて、ご自身にとってその差額が見合ったものか考えてみてください。
その上で「もう少し節約したい」と思った方は格安SIMへの移行を検討してみましょう!
スマホをお得に、キレイに使いたい方はSAVERをどうぞ